ここ10年位通っている、小料理屋があります。場所は渋谷です。
心の故郷は横浜なのですが、もともと仕事もずっと東京。20代の頃は
おてんば娘だったので、強烈な都内派(東京大好き!)でした。
働き始めてから数年後にはすでに通っていたので、初めは
「若いくせに生意気な女だ」
と板長に思われていたことでしょう。
お店の作りがよくて、半円をかいているカウンターは、板前さんと非常に近く、
様々な食べ物の話をしながら、旬の和食を食べたものでした。
自分自身でもお店に迷惑をかける程ではありませんでしたが、それなりに常連の
顔をして、そういう態度をとって、今思うとよくもまぁ恥ずかしくもなく
通っていたと思います。
20代後半になってから、お客としてのあり方も考えるようになり、当時のことを
思うたびに恥ずかしい思いから、一時的にその店から離れました。
お店のせい、ではなく私個人的なせいで。。。
そうこうしているうちに、お店の場所が数分先の場所に引越しし、店内の
雰囲気はまったく変わりました。
作っていらっしゃる板長を初め、他の板前さんも奥に引っ込み、昔のような
素敵な時間を共有することができなくなっていました。
私としては、少しほっとしながら、またここ数年よく行くようになりました。
女将さんも以前は着物でしたが、今は洋服。
着物のほうが素敵だったのにな。。。
お客様対応をされるので、どうしたって女将さん とはお話しますが、
ここ数年板長と話す機会もなく、時は過ぎていきました。
しかし、この前ここへ行った時の帰り際、奥に引っ込んでいたはずの板長が出てきて、
私に話しかけてくださったのです。
「ご無沙汰してます。ずいぶんと大人になられて。またいつでも来てください」
。。。、たくさん言いたいことはあったのに、顔を真っ赤にして小さな声で挨拶するのが
精一杯の私でした。
10年覚えていて下さった板長に感激すると共に、素晴らしいお料理を出し続けて
こられた人にそう声をかけられて(本当の意味で認められ)、胸が一杯になってしまいました。
お客として行った店は、もちろん店内の隅々までチェックしますが、お店はお店で、
ちゃんとお客様のことは見ていると思います。
こんなことを書いていると、やたら子供っぽいですが、素晴らしいお店、素晴らしい板長、
素晴らしい従業員の方には敬意を払うべきだとそう思います。